DMと個人情報|車検案内を送るときの利用目的と発送代行への委託

車検の案内はがきやDMは、お客様の氏名と住所、車の情報を使って送ります。つまり個人情報を使う仕事です。とはいえ、難しい手続きが要るわけではありません。この記事では、個人情報保護委員会の「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」に沿って、整備工場や車販店が案内を送るときに押さえておく決まりを、受付から発送代行への委託まで順に整理します。

車検案内のDMと個人情報保護法の関係

お客様の氏名、住所、電話番号は個人情報です。整備工場の顧客台帳のように、個人情報を検索できる形でまとめたものを事業に使っていれば、その店は個人情報保護法の「個人情報取扱事業者」に当たります。

規模は関係ありません。ガイドラインは、個人情報データベース等を事業の用に供している者であれば、識別される個人の数の多寡にかかわらず個人情報取扱事業者に該当する、と明記しています。法人でない個人事業主の工場も同じです。

車検案内のDMに関わる主な決まりは、利用目的の特定、利用目的の通知・公表、目的外の利用の制限、委託先の監督、そして利用停止の請求への対応です。順に見ていきます。

顧客台帳を使う整備工場は個人情報取扱事業者

整備工場や車販店が、お客様の氏名、住所、電話番号、車両情報を検索できる顧客台帳にまとめて事業に使っていれば、個人情報保護法の個人情報取扱事業者に当たります。個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)は、個人情報データベース等を事業の用に供している者であれば、識別される個人の数の多寡にかかわらず該当すると明記しており、法人格のない個人事業主も含まれます。車検案内のはがきやDMを送るときに関わる主な決まりは、利用目的の特定、利用目的の通知・公表または明示、目的外利用の制限、発送代行など委託先の監督、利用停止の請求への対応の5つです。台帳の大きさに関係なく、同じ決まりがかかります。

DMを送るための利用目的の特定

個人情報を扱うときは、利用目的をできる限り具体的に特定しなければなりません(法第17条第1項)。ガイドラインは、単に抽象的、一般的に特定するのではなく、本人から見てどんな事業に、どんな目的で使われるかが一般的かつ合理的に想定できる程度に具体的にすることが望ましい、としています。

ガイドラインには、具体的に特定している例として「○○事業における商品の発送、関連するアフターサービス、新商品・サービスに関する情報のお知らせのために利用いたします。」という文が挙がっています。整備工場に当てはめるなら、次のような書き方になります。

お預かりした個人情報は、自動車の整備・車検・点検の受付とご連絡、ご請求、整備記録の管理、ならびに次回の車検・点検時期のご案内、当店の商品・サービスに関するお知らせ(はがき、電話、メール、SMS)のために利用いたします。

大事なのは「次回の車検・点検時期のご案内」と「お知らせ」が入っていることです。ここが抜けていて「整備のため」としか書いていないと、案内はがきの送付が目的の範囲に入るかどうかで迷うことになります。

業種だけを書く方法について、ガイドラインは、多くの場合、業種の明示だけでは利用目的をできる限り具体的に特定したことにはならない、としています。

利用目的に「車検・点検時期のご案内」を書く

個人情報保護法第17条第1項は、個人情報の利用目的をできる限り具体的に特定することを求めています。個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)は、具体的に特定している例として、商品の発送、関連するアフターサービス、新商品・サービスに関する情報のお知らせのために利用する、という書き方を挙げています。整備工場なら、整備や車検、点検の受付と連絡、請求、整備記録の管理に加えて、次回の車検・点検時期のご案内と商品・サービスのお知らせを、はがき、電話、メール、SMSといった手段とともに書いておけば、案内はがきの送付が目的の範囲に入るかで迷いません。業種名だけの記載では、多くの場合足りないとされています。

利用目的の通知・公表と受付票での明示

特定した利用目的は、お客様に伝える必要があります。伝え方には決まりが2つあります。

場面求められること整備工場での例
個人情報を取得したとき(法第21条第1項)あらかじめ公表しているか、取得後速やかに本人に通知または公表する店内の掲示、店のホームページへの掲載
本人から書面で直接取得するとき(法第21条第2項)あらかじめ本人に利用目的を明示する受付票や申込書に利用目的を印刷しておく

整備工場の受付票や入庫申込書は、お客様が自分で氏名や住所を書き込む書面です。この場合はあらかじめ利用目的の明示が要るので、受付票の下の欄に利用目的を印刷しておくのが一番手堅い方法です。

ガイドラインは「公表」に当たる例として、自社のホームページのトップページから1回程度の操作で到達できる場所への掲載や、顧客が訪れる店舗でのポスター掲示、パンフレットの備え付けを挙げています。受付票の明示に加えて、店内の掲示とホームページにも同じ文を載せておけば、電話で取得した場合なども含めて抜けがなくなります。

受付票に利用目的を印刷して明示する

個人情報保護法第21条は、個人情報を取得したら、あらかじめ公表している場合を除き速やかに利用目的を本人に通知または公表すること(第1項)、本人から書面で直接取得するときはあらかじめ利用目的を明示すること(第2項)を求めています。整備工場の受付票や入庫申込書はお客様が自分で記入する書面なので、利用目的を受付票に印刷しておくのが手堅い方法です。個人情報保護委員会のガイドラインは、公表の例として、ホームページのトップから1回程度の操作で届く場所への掲載や、店舗でのポスター掲示を挙げています。受付票、店内掲示、ホームページの3か所に同じ文を置けば、電話での取得も含めて抜けがなくなります。

利用目的の範囲外でDMを送るときの同意

特定した利用目的の範囲を超えて個人情報を扱うには、あらかじめ本人の同意が要ります(法第18条第1項)。例えば、整備の連絡のためだけに預かった情報で、新しく始めた別事業の宣伝DMを送るような場合です。

利用目的を後から変えることもできますが、ガイドラインは、変更前の利用目的と関連性を有すると合理的に認められる範囲、つまり本人が通常予期し得る限度と客観的に認められる範囲内での変更に限られ、変更後の目的は本人に通知または公表しなければならない、としています。範囲を超えるなら同意が必要です。

一番の近道は、受付票の段階で「車検・点検時期のご案内」と「お知らせ」を利用目的に入れておくことです。これから取得する分は、それで迷わなくなります。

利用目的の範囲を超えるDMには同意が要る

個人情報保護法第18条第1項により、特定した利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を扱うには、あらかじめ本人の同意が要ります。整備の連絡のためだけに預かった住所で、新しく始めた別事業の宣伝DMを送るような使い方がこれに当たります。利用目的を後から変えることもできますが、個人情報保護委員会のガイドラインは、変更前の目的と関連性があると合理的に認められる範囲、つまり本人が通常予期し得ると客観的に認められる範囲での変更に限り、変更後の目的を本人に通知または公表するよう求めています。これから取得する分は、受付票の利用目的に車検・点検時期のご案内とお知らせを入れておくのが近道です。

案内はがきの発送代行への委託と監督

案内はがきの宛名印刷や投函を外部に頼むとき、お客様の氏名や住所を発送代行の会社に渡すことになります。これは第三者提供に当たるのでしょうか。

ガイドラインによると、利用目的の達成に必要な範囲内で個人データの取扱いの全部または一部を委託し、それに伴って個人データを渡す場合、渡した先は第三者に当たりません(法第27条第5項第1号)。このため、本人の同意やオプトアウトの手続きを経ずに渡せます。ガイドラインは、百貨店が注文を受けた商品を配送するために宅配業者に個人データを渡す例を挙げています。委託先は、委託された業務の範囲内でしかその個人データを扱えません。

その代わり、委託する側には委託先を監督する義務があります(法第25条)。ガイドラインは、必要かつ適切な措置として次の3つを挙げています。

  1. 適切な委託先の選定:委託先の安全管理措置が、自社に求められるものと同等であることをあらかじめ確認する
  2. 委託契約の締結:安全管理措置の内容や、委託先での取扱状況を把握できることを契約に盛り込むことが望ましい
  3. 委託先での取扱状況の把握:定期的な監査などで契約内容の実施状況を確かめ、評価することが望ましい

あわせて、委託する業務に必要のない個人データは渡さないことも求められています。案内はがきの発送に要るのは宛名と差し込む項目だけなので、整備履歴や支払い情報まで渡す必要はありません。

発送代行への委託は第三者提供に当たらない

個人情報保護委員会のガイドラインによると、利用目的の達成に必要な範囲で個人データの取扱いを委託し、それに伴って個人データを渡す場合、渡した先は第三者に当たらず、本人の同意なしに渡せます(個人情報保護法第27条第5項第1号)。車検案内はがきの宛名印刷や投函を発送代行に任せる場合がこれに当たり、委託先は委託された業務の範囲でしかその情報を扱えません。そのかわり委託元には法第25条の監督義務があり、適切な委託先の選定、委託契約の締結、委託先での取扱状況の把握が求められます。渡すのは宛名と差し込み項目に絞り、整備履歴や支払い情報など案内に要らないデータは渡さないことも大切です。

DM停止の申し出と利用停止の請求

「もう案内は要らない」と言われたら、記録して次回から外します。これはマナーの話にとどまりません。

ガイドラインは、本人の権利または正当な利益が害されるおそれがある場合の利用停止等の請求について、ダイレクトメールの送付を受けた本人が送付の停止を求めたにもかかわらず、事業者がダイレクトメールを繰り返し送付している場合を、利用停止等が認められると考えられる事例として挙げています(法第35条第5項)。

台帳に「案内不要」の印と申し出の日付を入れ、毎月の抽出条件で必ず外す。それだけで防げます。発送代行に頼んでいる場合も、抽出する側の台帳で外しておけば、停止したはずのお客様にはがきが届くことはありません。

案内不要の申し出は台帳で確実に外す

お客様から車検案内やDMは不要と申し出があったら、台帳に案内不要の印と申し出の日付を入れ、毎月の発送対象の抽出から外します。個人情報保護委員会のガイドラインは、ダイレクトメールの送付を受けた本人が停止を求めたにもかかわらず事業者が繰り返し送付している場合を、個人情報保護法第35条第5項にもとづき利用停止等が認められると考えられる事例として挙げています。申し出を受けた担当者が台帳を直さないまま次の月の発送が進むと、この状態になりかねません。発送代行を使う場合も、抽出する側の台帳で外しておけば、停止を求めたお客様にはがきが届くことはなくなります。

整備工場の案内業務で確認しておきたいこと

  • 受付票に、車検・点検時期のご案内とお知らせを含む利用目的が印刷されているか
  • 同じ利用目的を店内に掲示し、ホームページにも載せているか
  • 発送代行に渡すデータが、宛名と差し込み項目に絞られているか
  • 発送代行の会社の安全管理措置を確かめ、契約で取り扱いを決めているか
  • 案内不要の申し出を台帳に記録し、毎月の抽出で外しているか

メールやSMSで案内を送る場合は、個人情報保護法とは別に特定電子メール法の決まりもかかります。特定電子メール法:メール・SMSで車検案内を送るときの決まりもあわせて確認してください。外部へ頼む場合の選び方はDM発送代行の選び方で扱っています。

日本カーネットの車検・点検案内ハガキの発送代行は、整備システム・整備ソフト DREAM POWER の車検点検案内の画面から対象車両を選んで発送を依頼する形なので、発送に使う宛名データは画面で選んだお客様の分に限られます。料金は1通120円〜(別途初期費用)です。サービスの内容は車検・点検案内ハガキ発送代行の特長でご覧いただけます。

よくある質問

小さな整備工場でも個人情報保護法の対象ですか?
対象です。個人情報保護委員会のガイドラインは、個人情報データベース等を事業に使っていれば、扱う人数の多寡にかかわらず個人情報取扱事業者に当たるとしています。個人事業主の工場も同じです。
車検案内はがきを送るのにお客様の同意は要りますか?
利用目的に車検・点検時期のご案内が含まれ、それを受付票で明示するなどしていれば、その範囲で送れます。範囲を超える使い方をするときは、あらかじめ本人の同意が要ります。
発送代行に顧客の住所を渡すのは第三者提供になりませんか?
利用目的の達成に必要な範囲で発送業務を委託し、それに伴って渡す場合は、第三者提供に当たりません。ただし委託元として、委託先の選定、契約、取扱状況の把握といった監督の義務があります。
「案内はいらない」と言われたらどうすればよいですか?
台帳に記録して、次回から発送対象から外します。停止を求められたのにDMを繰り返し送ると、利用停止等の請求が認められる事例としてガイドラインに挙げられています。
自動車整備システムで利用目的や停止の記録を管理できますか?
自動車整備システムや整備ソフトの顧客台帳に案内不要の印や申し出日を残しておけば、毎月の抽出で外せます。整備ソフトのおすすめを比べるときは、案内対象の抽出条件にこうした印を使えるかを見ておくと安心です。

出典・参考資料

記載内容は2026年10月7日時点で公表資料を確認したものです。郵便料金・制度は改定されることがあるため、最新の内容は日本郵便・所管官庁の公表資料でご確認ください。

車検・点検の案内ハガキ、出すのはワンクリックだけに。

宛名の印刷、切手の貼付、投函までを代行します。1通120円〜(別途初期費用)、月曜から土曜まで発送、受付から最短3日でお客様に届きます。整備システム・整備ソフト DREAM POWER の車検点検案内の画面から、そのまま発送を依頼できます。

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